板橋区大山にあるオレンジの不動産屋アメニシティの日常
blog身内間の不動産売買
先日、知り合いの社長から相談があるとご連絡を頂きました。
相談内容は
「自分と母の共有名義で土地と建物を所有している。その中で母が所有している持分を買い取りたい。」
との事でした。
この場合まず気を付けないといけない事は、不動産売買の売主と買主が親族の場合、意図的に実勢相場より極端に高く売買したり極端に安く売買すると、あとで税務署から贈与と指摘され贈与税を徴収される可能性があります。
そこでそのような指摘をされないようにと、実勢相場を把握している不動産会社によくこのような相談があります。
数日後、実勢相場を調査した査定書をもってご説明にあがりました。
相談主の社長様も、とにかく税務署からの指摘がないような価格であればいくらでも良いという考えだったので、ご提案させて頂いた査定額には納得して頂きました。
ですがここで一つ問題が。
いろいろお話を聞いていると、どうやら売主となるお母様は認知症に近い症状があるとの事です。
不動産のような高額な売買契約の場合、買主又は売主の一方が認知症等で意思能力がないと認められると、この売買契約は締結後、所有権移転後であっても無効となる場合があります。
万が一このような事態が起こってしまうと、その契約を仲介した不動産会社や、登記をした司法書士が最悪の場合、損害賠償請求を受けてしまう事もあるので細心の注意を払う必要があります。
まず今回の事情を司法書士に相談しました。
司法書士の見解としては、この売買の登記を受けるにはお母様の意思能力があるという客観的証明として病院から認知症ではないという診断書を出してもらい、その後、あまり期間を空けずに売買契約を締結した方が良いとの事です。
しかしこれについては現在お母様は病院から薬を処方されているので、認知症ではないという診断書を病院から出してもらえる可能性は低いと思われます。
それで次の方法としては、お母様に成年後見人を付けて財産管理を後見人に委ねるという案です。
成年後見人は家庭裁判所に申し立てることで身内、司法書士、弁護士等がなる事ができます。
ですがこの案も懸念事項があり、そもそも成年後見人が財産を管理する際、特段の理由がない限り安易に資産を売却できない事になっています。
ここで言う特段の理由とは、本人が最低限の生活を送れるお金すらなく資産を売却せざるを得ない状態の事を指します。
このお母様の現在は特に資産を売却しなければならない程お金には困っていない状況ですので、成年後見人の案も難しくなってしまいました。
結果、今の状況においてお母様の不動産持分を本人が買い取る事は事実上厳しく、将来、お母様がお亡くなりになった際に、相続で取得する事が現時点での最善策だという結果になりました。
今回の相談で改めて感じたのは、不動産所有者に認知症の疑いが少しでもあると、自分の意に反して不動産の売却が非常に難しくなるという事です。
親子間で所有不動産を譲渡する予定が将来ありそうな場合は、親が高齢になる前に一度しっかりと話し合っておいた方が良いと思います。
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